あんぱんと缶コーヒー

久しぶりだね。もう三年も経つのか、最近どうしてる。

え、なんだって「生活」をしているのかい。やめなよ、そんな無意味で不健全なことは。しばらく会っていないうちに随分と頽廃的になったんだね。

ごめんよ言いすぎた、自分はなにをしているのかって。そうね、脈絡なくやってるよ。いまだって、どうしてここに居るのかよくわからないんだ。そもそもどうやってここまで来たのか、はっきりしない。記憶があちこちで断たれてしまうんだ。忘れないように自分のやったことを記録しておかなければならなくなった。食事を最後にやったのはいつかな、食べても飲んでも身体がそれを吸収している実感が湧かなくなってから全然。寝れてるかって、寝てるよ。それが夜だとは限らないけど。

労働はしているよ。社会参加してる気分にはならなかった。むしろ隔絶された感じがしたよ。でも嫌いではない。そのときだけは主体を放棄して労働をやってれば許されるんだから。金はね、どう使ったらいいのかわからなくて。貯まってく一方だ。

都会の悪臭から逃れるために毎日紅茶を淹れ嗅ぐだけ嗅いで飲まずに捨ててたこととか、歯を抜く前日に銀座で焼死体みたいなタルトを食べたこととか、忘れたわけではないんだけど、いまは袋の中で熱い缶コーヒーに部分的に温められたあんぱんのことしか考えられないんだ。ごめんね。そうでもしてないと期外収縮のことが気になってしまってほんとうに、 それじゃ