Dearuをdaeruと打鍵しがちだえる。

 

乗っていた電車が脱線した。特急が猛スピードで高架を走っている最中に車体がふわっと浮いて、天地がひっくり返って地面に叩きつけられた。隣の人は頭を床に押し付けて空にお尻を突き出すようなイビツな体制になっていた。声をかけてみたけど返事はなかった。他の乗客も同様生きてるのか死んでるのかわからなかったけど、自分のことしか考えてなかったから窓を叩き割って外に出て、歩いて車体から離れた。車体の近くにいたら野次馬や、メディアに捕まって面倒なことになると思ったからだ。大きな事故だろうし地震速報みたいに、ニュースで取り上げられているかもと適当な飲食店に入った。上空からの映像なんかで自分が乗っていた電車がどういう目に遭ったのかを確認したい。

そうしたらテレビでもラジオでも放送していないし、店の人に尋ねたらそもそも当の地域には特急列車どころか線路や架線自体ないとのこと。それに乗ってどこへ向かっていたのか聞かれたが、自分も自分で列島を北上しようとしていたということしか思い出せないのだ。荷物は車両の中に置いてきたので身分を証明する物もなく、ひとまず家に帰ろうと思ったものの、いまいる土地の地名を見てもどこのことなのかがわからず、地図も読めない。幹線道路に沿って移動してみてもどういうわけか最初に尋ねた飲食店に辿り着くようになっている。 

 

これを書きながら青々とした山や露に濡れた葉の匂いなどを思い出している